【溝の口】ほっこりと心温まるコーヒースタンド。

~少し深めにオーナーさんの話を聞いてみましたシリーズ~

二坪喫茶 アベコーヒー

築90年近い洋館の一角にある、小さなコーヒースタンド。
扉を開けると、どこか穏やかで心温まる空気が流れている。
常連らしき人がスタッフと何気ない話をしていて、コーヒーを片手にふらっと帰っていく。

カウンターは2か所、道路に面したカウンターと、建物内からのカウンター。

建物内のカウンターには、コーヒー豆や、オーナーまりこさんの手作りの陶器が並ぶ。
個性的で温かい表情。和アンティークな建物にマッチした雰囲気はまりこさんのセンス。

この場所を営むまりこさんは、「実はコーヒー屋をやりたかったわけじゃないんです」と笑う。大学卒業後は、広告制作会社で写真やポスター制作のプロデュースをしていた。飲食経験もバリスタ経験もなく、そんな彼女が店を始めることになったきっかけは、友人からの誘いだった。

「築90年の洋館を改装してコワーキングスペースにするんだけど、入口でコーヒースタンドやらない?」と声をかけてくれたのは、インテリアデザイナーとグラフィックデザイナーの夫妻。会社員時代、同じマンションに住み、朝ごはんも晩ごはんも一緒に食べるくらい仲の良かった友人たち。

“いつか人が集まる場所をやりたい”という気持ちは、昔からなんとなくあったという。「コーヒーはきっかけだったんです。人が集まる場所をつくりたかった。」そうして2017年、コーヒースタンドのオープンが決まった。とはいえ、その時点ではまだコーヒーの知識もほとんどない。オープンまでの期間は、わずか半年ほど。 コーヒー好きの知人に教わりながら、豆や抽出、エスプレッソについて必死に勉強した。


メルボルンにも足を運び、ミルクスチームを学んだ。 内装は友人夫妻と一緒につくり、壁のペンキ塗りもみんなでやった。

「ほんと、手探りでした。」当時、この街ではまだスペシャルティコーヒーを扱う店も少なかった。だからこそ、まずは“ちゃんと美味しい一杯”を届けたいと思ったという。

二坪ブレンド

「コーヒー好きの人だけじゃなくて、近所のおじいちゃんおばあちゃんが飲んでも『美味しいね』って思えるものにしたかったんです。」

何種類も並べるのではなく、最初はブレンド一種類だけ。 毎日飲んでも疲れない味を目指して、焙煎士と一緒に細かく調整を重ねた。そして、スペシャリティコーヒーが少しずつ定着してきたので、種類を増やしたそう。

胡桃と松の実のホットドック

フードの素材一つ一つについても丁寧に勉強したと言うまりこさん。
「最初は工房と一緒に何種類も試作を重ねました。ハーブ感を強くすると肉感が弱くなる。けれど、ただ肉っぽいだけでもつまらない。ちゃんとお肉感がありつつ、ハーブとかスパイスも感じられるものにしたかったんです。」


一方では、マリコさん自身“接客が得意なタイプ”ではない。「むしろ苦手です。めちゃくちゃ気にしちゃうタイプなので。」
それでも9年近く続けてこられたのは、少しずつ顔見知りのお客さんが増えていったから。今では「マリコさんがいる日だから来たよ」という人もいる。

接客は苦手だけど、あまり“店員とお客さん”という壁を作らないようにはしている。“近所の知り合い”くらいの距離感でいたいから。
「海外のコーヒースタンドって、店員さんとちょっと話して、コーヒー飲んで帰るみたいな空気があるんですよね。そういう場所にしたかった。」

二坪食堂

現在は、2店舗目の二坪食堂で食堂や夜の酒場営業も展開している。
料理はスタッフや友人たちと一緒につくり、レシピ提供を受けながら少しずつ形にしている。「私はふわふわしてるので、周りがしっかりしてくれるんです。」そう言って笑う姿からは、“カリスマオーナー”というより、“みんなでお店を育てている人”という空気を感じる。

効率や正解を求められがちな時代だけれど、この場所には少しだけ余白がある。完璧じゃない。 でも、人の気配がちゃんと残っている。

だからまた、ふらっと立ち寄りたくなるのかもしれない。

店舗情報

■二坪喫茶 アベコーヒー
住所|神奈川県川崎市高津区下作延1-1-7 nokutica 1F
アクセス|東急「溝の口駅」西口より徒歩約3分
営業時間|平日10:00-18:00 / 土日祝11:00-18:00
定休日|年末年始&不定休
Instagram|二坪喫茶 アベコーヒー Instagram

■二坪食堂
住所|神奈川県川崎市高津区溝口1丁目14-8 溝の口石原ビル
営業情報|9:30-20:00
定休日|年末年始
Instagram|二坪食堂 Instagram

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