高津区で岩手県野田村の味に出会える場所があります。「岩手県野田村のふるさとの駅」で販売されているのは、野田村で製塩された「のだ塩」を使ったソフトクリーム。一見すると、地域の特産品を使ったご当地スイーツです。
けれど、このソフトクリームには、東日本大震災をきっかけに始まった、野田村との10年以上の交流が込められています。
きっかけは、東日本大震災
高津区溝の口「岩手県野田村のふるさとの駅」がオープンしたのは、2021年6月。その原点となったのは、2011年の東日本大震災でした。
震災当時、運営会社の蒲谷亘代表は、ボランティアとして野田村を訪れました。そこで当時の野田村村長との交流が始まります。

当時、野田村でしか販売されていなかった「のだ塩ソフト」
現地でしか手に入らなかった「のだ塩ソフト」について、村長から販売の快諾を得たことが、すべての始まりでした。それから交流は途切れることなく続き、2021年、ついに神奈川の地で販売がスタートしました。
震災から時間が経っても、つながりは継続しています。のだ塩のソフトクリームは、そのことを静かに伝えています。

看板商品は「のだ塩ソフト」
店舗を運営するのは、株式会社リバイバルドラッグ。4階建ての建物の1階から3階はリバイバルドラッグの店舗です。その1階の角に「岩手県野田村のふるさとの駅」があり、4階ではイタリアンレストラン「iiYone」も運営しています。「ふるさとの駅」の中心にあるのが、野田村の「のだ塩」を使ったソフトクリームです。
店舗では、積極的な宣伝活動や電話番号の公開を行っていません。それでも地元の町内会や子供会のお祭りなどの地域交流を続けるうちに、口コミで徐々に評判が浸透しました。今では週末になると何十人ものお客様が訪れる人気スポットに成長しました。ファミリーやカップル、ご近所の方、ご高齢の方など、客層もさまざまです。「岩手県の出身なんです」という方も訪れ、常連になるお客様も多いといいます。
地域に根づくということは、広告で一気に知名度を上げることだけではありません。「ここにある」と知ってもらい、誰かに伝えてもらい、また誰かが訪れる。そんな小さな循環によって、このソフトクリームは広がってきました。
小学生以下を対象にした100円の「お子様ソフト」も、特徴のひとつ。子どもたちにとっては、気軽に楽しめる価格です。現在、ソフトクリーム専任のスタッフは4人。商品を提供するだけでなく、地域の人と人との接点として、この店舗を支えています。

「売ること」そのものが、支援になる
ソフトクリームの販売と、リバイバルドラッグの本業に直接の関係があるわけではありません。それでも、この店舗を続ける理由は明確です。野田村から原材料を仕入れ続けること。それ自体が、継続的な支援になるからです。
「ソフトクリームで大きな利益を出そう」ということが目的ではありません。
と店舗担当者は語ります。野田村の復興を応援すること。そして、地域とのつながりを、これからも続けていくこと。その思いが、この場所の営みを支えています。野田村の道の駅が移転オープンした際にも、代表は何度も現地を訪れました。ラジオ番組のスポンサーを務めるなど、野田村との関わりも続けています。さらに、高津駅に設置した自動販売機では、野田村の商品を販売。ドレッシングやパスタなどに加え、店舗と同じレシピを使ったカップ入りのソフトアイスも販売しています。店舗だけではなく、自動販売機という日常の風景の中にも、野田村とのつながりが広がっています。


本業「薬の循環」に見る社会課題解決の精神
リバイバルドラッグの本業は、全国の調剤薬局で余剰となった薬を預かり、必要とする別の薬局へ販売するマッチング事業です。「薬のフリマのような仕組み」と担当者が表現するこのシステムには、現在全国で約9,500店舗が登録。各薬局が抱える年間数十万円にも上る廃棄ロスを劇的に減らす役割を担っています。
野田村支援のソフトクリーム販売と、薬のロスをなくすマッチング事業。全く別の事業に見えますが、どちらも根底には「困っている人を支援し、無駄をなくして社会を良くしたい」という一貫した哲学が感じられます。
ひとつのソフトクリームから、野田村を知る
「岩手県野田村のふるさとの駅」は、テイクアウト形式の店舗です。店内に固定のイートイン席はありませんが、店外のスペースでソフトクリームを味わうことができます。ここで食べるひとつの「のだ塩ソフト」。その味をきっかけに、野田村という場所を知る人がいるかもしれません。震災のことを知る人がいるかもしれません。そして、野田村の商品を手に取る人がいるかもしれません。

店舗担当者からお客様へ下記のメッセージを頂きました。
高津区ではなかなか出会えない「のだ塩ソフト」をぜひ味わっていただき、東北・野田村のことを知って、応援してください。
その言葉どおり、温かい思いが詰まった素敵なお店でした。
遠く離れた野田村と、神奈川県。その距離をつなぐのは、大きな施設でも、大規模なキャンペーンでもありません。ひとつの商品を仕入れること。ひとつのソフトクリームを手渡すこと。そこで交わされる会話です。
2011年の震災から始まった交流。離れていても、忘れない。会えなくても、つながっている。その思いは2021年の「ふるさとの駅」へと受け継がれ、そして今も、この「のだ塩ソフト」の中に息づいています。
「岩手県野田村のふるさとの駅」へのアクセス
場所:
神奈川県川崎市高津区溝口6丁目13−7
営業時間:
11:30~17:00(金曜16:00まで。変更あり)
月曜休み
行き方:
JR武蔵溝ノ口駅からバスで梅林下車6分。
東急田園都市線高津駅徒歩11分。
246号線からの経路:






