アートでつながるまちを目指して「TAKATSU ART DAYS」

高津区で、アートをテーマにした取り組みがひそかに始まっています。
取り組みの名前は「TAKATSU ART DAYS」。
身近な場所でアートに触れることを通して、街とそこに住む人たちをつなぐ企画です。

企画を立ち上げたのは、高津区に暮らす小幡奈苗さん
高津区の提案型協働推進事業「あすLABO」に採択され本企画を実施することに。

TAKASU ART DAYS企画を立ち上げた小幡奈苗さん


高津コネクトでは、企画を提案するに至った背景や、この取り組みを通して見つめている高津区の姿についてお聞きしました。

TAKATSU ART DAYSが生まれるまで

高津区に引っ越して、見えてきた街の輪郭

約1年半前、高津区に引っ越してきた小幡さん。
「自然がありながら、都内にも出やすい場所」を探していたと言います。

川があって、緑もあって。それでいて都内にも行きやすい。
高津区は、今の自分にとってちょうどいい場所だなと思いました

実際に住んでみて最初に感じたのは、これまで住んでいた都内とは街の雰囲気が少し違うということでした。

チェーン店が、あまり多くないなって思ったんです。
その代わりに、個人のお店がすごく多い

気になるお店がいくつも見つかり、
行きたいお店巡りをするようになったと言います。

そんな中で何度か通っていたのが、お菓子屋さん「シェルシューズ」。

二子新地駅から徒歩数分のところにある洋菓子屋「シェルシューズ」さん


その店内で目に留まったのが、「まちの企画室」の座談会のチラシです。

「ちょっと街のことが知れたらいいな」
そんな気持ちで座談会に参加した小幡さんでしたが
いざ参加してみると、想像していた雰囲気とは全然違っていました。

行政でも企業でもない、いち住民である個人が、
街について熱く語る姿が印象に残ったとのこと。

すごくびっくりしました。
今まで住んでいた場所では、こんな光景を見たことがなかったので

あすLABOという取り組みを知ったのも、この場が初めてでした。
市民が自ら企画を提案し、区役所や地域の人たちと協働しながら形にしていく制度です。

何か具体的にやりたいことがあったわけじゃなくて。
ただ、すごい面白そう、って思って

「提案してみたい人はいますか」という問いかけに、
小幡さんは手を挙げました。

それが、TAKATSU ART DAYSの出発点です。


「自分がしてもらって嬉しかったこと」を、街に返したい

──アートがテーマになった理由

では、なぜテーマが「アート」だったのでしょうか。

小幡さん自身、もともとアートに詳しかったわけではなく
趣味で少し絵を描く程度だと言います。

ヨガの資格講座を受けていたときのこと。
修了のタイミングで、仲間一人ひとりをイメージして絵を描き、贈ったことがありました。

そしたら、本当にびっくりするくらい喜んでもらえて

その経験から、アートは特別な人のものではなく、
もっと身近に自己表現ができる手段なのではないかと感じるようになります。

さらに、高津区に引っ越してきて、
「ここに来てよかった」と初めて実感した出来事がありました。

それは、よく通っていたお弁当屋さん「コロコロデリ」でのこと。

高津駅からほど近いお弁当・お総菜屋さんコロコロデリさん

店内には、GAKUさんというアーティストの方の絵が飾られているのを見て

最初は、なんでお弁当屋さんに絵が飾ってあるんだろう?って思ったんです

通ううちに、GAKUさんの紹介チラシが貼られていることにも気づきます。

このお店は、地域の人を応援したいっていう気持ちで、
絵を飾っているんだなって

そう感じたとき、
お店の印象だけでなく、街そのものへの印象も変わりました。

自分のことだけじゃなくて、
地域や誰かのことを思ってお店をやっている人がいる。
この街は、そういう街なんだって

こうした体験が、
「アートをきっかけに、人と街がつながる場をつくれないか」という発想につながり、
TAKATSU ART DAYSという形へと発展していきました。

TAKATSU ART DAYSの全体像

TAKATSU ART DAYSは、
ワークショップ、美術展、そして作品と街をつなぐ「まちなか展示(マッチング企画)」を軸に構成されています。

小幡さんが意識していたのは、
いわゆる「アートイベント」に寄りすぎないことでした。

アートと聞くとどうしても難しそう、自分にはちょっと…と感じてしまうかもしれない。
その敷居の高さをなくして、身近なものと感じてもらえるような仕組みも意識されています。

そして、1日限りのアートイベントとして完結するのではなく、街とつながっていくことを大切にしたかったと言います。

アートを体験できるワークショップ

ワークショップは、
「やってみたい気持ちはある」「ちょっと興味はある」「けど少しハードルが高そう」
そんな人に向けた入り口として位置づけられています。

内容は、写真、油絵、キャラクター制作、アルコールインクアートの4ジャンル。
いずれの講座も川崎にゆかりのあるアーティストが講師をつとめ、
小学生から大人までどなたでも参加できます。

子どもから大人まで参加できるワークショップ
写真、油絵など様々なアート講座

2月11日 まちを撮ろう!フォトウォーク×まちTシャツ

2月15日 油絵体験ワークショップ

2月28日 オリジナルキャラクターづくり!宇宙人レシピ

3月1日 アートで自由な表現を楽しもう!アルコールインク体験

最初の一歩にー美術展

次のステップの美術展において小幡さんが特に意識しているのは、
「初めて作品を人前に出す人」でも参加しやすい場であることです。

プロアマ問わずどなたでも出品できるアート展

絵を描くのは好きだけど、
誰かに見せたことはない、という人も多いと思っていて

そういう人の最初の一歩にこの美術展がなればいいなと思っています。
出品エントリーは2月28日まで。気になる方はぜひチャレンジしてみて。

そして、この美術展には、
「アートを鑑賞しに行く」というより
「まちを観に行く」という気持ちで観に来てほしいとのこと。

このまちにはどんな人たちがいるのか
どんな作品をつくっているのか
作品をながめることでまちの人たちを知るきっかけになる、そんな美術展を目指しているそうです。

美術展って、ちょっと敷居が高いイメージがあると思うんです
そう感じている人にも足を運んでもらって、おしゃべりしたりしながら気軽に楽しめる場になるといいなと思っています。

作品と街をつなぐ「マッチング企画」

美術展のもう一つの特徴が、
作品と高津区内の個人店をつなぐマッチング企画です。

展示された作品の中から、
店舗オーナーが「好きだ」と感じた作品を選び、一定期間そのお店に飾ります。

今回は3店舗のみの実施ですが、この試みがもっと広がり、いろんなお店にいろんなアーティストの作品がある、そんな将来も目指しています。

アートでつながる高津の実現

当初は、溝の口駅前でのアートマルシェ構想もありました。

ただ今回は、
広く実施するのではなく、規模を絞ることにより、
アート文化を根付かせながら、じっくり広めるという方針を選ぶことに。

今回は高津のアートスペース「waku」で開催

まずは、ちゃんと中身をつくりたかった

段階的に進めていくことで、
今後も続いていく形にしたいと考えています。

いずれは駅前でのアートマルシェも実現させたいとのこと。

今回の企画は、参加する人にとっての「最初の一歩」であると同時に、
「アートでつながる高津」にとっても最初の一歩。

その一歩を一緒に踏み出してみたいと思ったら、
ぜひワークショップや美術展に参加してみてください。

この記事を書いた人

EY

高津歴6年。映画とカレーが好き。高津にミニシアターができるといいなと思っている。9歳男児の子育て中。