【散歩連載(第1回)】 高津編/路地から広がるさまざまな景色

川崎市高津区には、JR南武線や東急田園都市線、東急大井町線に複数の駅があります。駅前の商業施設や商店街に、道路、公園、マンション…。駅周辺を自由気ままに練り歩き、主感たっぷりにレポートする“散歩連載”。初回は東急田園都市線の高津駅周辺を歩きました。

はじめまして。なかにしと申します。

國學院大學観光まちづくり学部に通う大学3年生です。私の趣味は“散歩”。特に、東急線の街が大好きで気づいたら全駅を制覇していました。その後、東急線以外の駅も積極的に歩くことで、鉄道会社によって駅周辺の街が異なる印象を受けました。今回は高津駅周辺を散歩しましたが、過去に散歩したときと印象が変わったか、または変わっていないかも含めて述べていきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします!

16:00 今回の舞台、高津駅へ到着!

高津駅構内の様子。温かみを感じる窓枠の木目はもはや駅の象徴と言ってよいだろう。

田園都市線に揺られ、高津駅に到着。降り立つのは2回目。改めて、駅の中を見渡してみると、駅の窓枠が木目調で新しい駅の雰囲気に思える。

高津駅改札から府中街道を望み見る。交通量の多さに驚きを覚える。

西口改札を出た先にはどんな風景が広がっていたか、2年前に来た時の記憶を思い出しつつ、改札を降りると、大きな街道が広がっている。信号待ちがてら調べると、府中街道というらしい。今回は、この街道に沿って心の赴くままに歩いていくことにする。

16:30 府中街道に沿って南下スタート!

駅前の横断歩道を渡って、私は府中街道沿いを南下し歩き始める。ここで私の尊敬する観光まちづくり学部の吉見俊哉教授の“散歩哲学”を思い出す。広い道より狭い路地。真っすぐな道より曲がった道。その教えに従って、私は気になった路地に入っていく。地図を見ると、三角の地形になっている路地。どんな風に家々が並んでいるのか。何があるのかが気になって曲がってみる。

三角地形周辺。府中街道から曲がった先の居酒屋。夜にもう一度訪れたい。

現れたのは、なんと飲み屋街! 三角地形を曲がってすぐは住宅街が続いていたので、てっきり、旗の台駅(東急大井町線)のような景色が広がっているのかと想像していた。だがしかし、突然、居酒屋が立ち並ぶ光景が現れ、非常に驚いた。田園都市線沿線では、このような光景はなかなか見ることができない。“住宅街の中にある、飲み屋街”というアンバランスさが、また、このエリアの魅力であると思った。

16:45 三角地形をあとにし、府中街道へ

再び府中街道を南下していくと、同級生の間でも人気だった「ラウンドワン高津店」の跡地が見えてきた。家々が並び、行き交う人々。この日が休日であったため、たくさんの人々がいた。誰も急いでいる人がいない。クラクションの音も聞こえない、穏やかな時間であった。マップを見ながらどこを曲がろうか悩んで、目の前にあった路地を曲がる。曲がった先の路地でもまた、たくさんの分かれ道があり、地形が非常に独特であるなと感じる。直感を頼りに、道をさらに進む。

突然眼前に現れた団地。入口が塞がれていたので、解体される前なのだろうか?

すると、現れたのは団地。地図で調べてみると、東京工業大学の宿舎であるという。団地オタクの私にはすごく心惹かれる見た目だった。この団地にまつわる背景などたくさんの妄想が浮かんできて歩みを止めそうになってしまったが、どうにか歩みを進める。

微妙な顔のキリン。もっと笑顔になってもいいのに。

宿舎の駐車場を通り抜けてまた道なりに進んでいく。家々に囲まれた道を進んでいき、時折見ることができる緑や公園、景色のバラエティー豊かさに楽しさを覚える。公園の遊具のキリンの顔にユーモアを感じながら、歩みを進めていく。

突然現れた梨畑。面食らってしまった。

家々の並ぶ道を通り、どんどん道なりに進んでいく。家が建つ予定の土地を経て、見つけたのはなんと畑。青い幕ごしに何を栽培しているか覗いてみると、どうやら梨のようだ。たしかに、高津区は『多摩川梨』が有名である。住宅街かと思えば畑が広がる、どんどん変わっていく景色に心を躍らせながら道なりに進んでいくと、次は大きな建物が見えてきた。

17:00 気が付けばずいぶん遠くまで

夕日と高津スポーツセンター。その前に広がっているのも梨畑?

改めてマップを開くと、この建物はどうやらこの建物は「高津スポーツセンター」というらしい。ずいぶん歩いてきたなぁ。この辺りは本当に静かであった。居心地が良い。高津駅の方角へ道なりに歩くと、ここにも梨畑が広がっていた。

車一台通れるかどうかの細い道の奥には、ラウンドワンであった痕跡が未だ残る。
ラウンドワン跡地に貼られていた“ニトリになる”という看板。

マップを見るとどうやら「ラウンドワン高津店」跡地の真裏を歩いている。ニトリが完成してからの高津駅周辺はどうなるのか、楽しみだ。道なりに何度か曲がっていくと、ようやく駅が見えてきた。

高津駅周辺を歩いてみて

今回歩いた道のり。再訪した暁には、駅の北側も歩きたい。

2年前に歩いた際、私は「お店がたくさんあって住み良さそうな街」と感じたが、今回は別の理由で住み良さそうな街だと思った。住宅街の中にもたくさんの畑や緑が見られる街並みが、開発されすぎてなく、落ち着いた暮らしができそうだと思えるからだ。三角地形の飲み屋通りのような面白いところもある。魅力的でしかない。アンバランスな風景ではあるが、やはり身近に畑や緑がある生活は時に日常の喧騒を忘れさせてくれる効果があると私は思う。21歳、将来の住処候補にまたひとつ新たな街、高津が加えられた。

この記事を書いた人

なかにし

なかにし

國學院大學観光まちづくり学部の3年生です。
趣味:散歩、旅、読書
専攻:公共政策、官民連携まちづくり
好き:ディズニー、ポケモン、ゆるキャン△